お役立ち情報
2025年06月06日 [お役立ち情報]
社労士が分かりやすく解説! 「育児・介護休業法の改正で何が変わる?」 (第1回)

こんにちは。社会保険労務士の山崎です。今回は、令和7(2025)年4月、10月に施行の【育児・介護休業法の改正】について、顧問先から届いた質問と弊社の回答をもとにご紹介します。ぜひご覧ください。
【顧問先A】:山崎先生こんにちは。今年(令和7年)の4月、10月に施行の「育児・介護休業法の改正」すでに4月の施行からは時間が経過していますが、改めて情報を整理させていただけますか? 今回の法改正では、子どもの年齢によって柔軟な働き方を可能にするための措置、テレワークの活用に関する内容などが盛り込まれていますね。
【2025年4月施行】
1. 子の看護休暇の見直し【義務】就業規則等の見直し
【顧問先A】:ではさっそく、4月施行の内容から確認させてください。最初は『子の看護休暇の見直し』について。ポイントとなるのは、対象となる子の範囲が広がったこと(小学校3年生修了まで)、取得事由に新たな内容が加わったこと(感染症に伴う学級閉鎖等、入園/入学式、卒園式)でしょうか。
【社労士(山崎)】:そうですね。ここ数年は新型コロナウイルスも影響し、やむを得ず仕事を休む方も多かったと思います。共働きの世帯は増加傾向にありますので、その辺りが背景にありそうです。そして、これらの取得事由が加わったことにより、名称も「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変更となりました。
【顧問先A】:ちなみに、勤怠の取り扱いは無給でも良いのでしょうか?
【社労士(山崎)】:はい、無給でも構いません。
【顧問先A】:これまでは入園式や入学式などで休みたい場合、(たとえ有給であっても)どこか引け目を感じていた方もいたような……。今後は、こちらの「子の看護等休暇」を利用して、堂々と休むことができる。そういう意味ではプラスに感じます。
2. 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大【義務】就業規則等の見直し
【顧問先A】:『所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大』について。こちらは、残業が免除される対象の年齢が、小学校就学前までに拡大されたんですね。
【社労士(山崎)】:最近は、柔軟な働き方へのニーズが高まってきています。同じ環境で長く働き続けてもらうためにも、対象年齢の拡大は大事な要素の一つになるでしょう。
3. 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加 選択する場合は就業規則等の見直し
4. 育児のためのテレワーク導入【努力義務】就業規則等の見直し
3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。
【顧問先A】:『短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加』については、これまでは時差出勤等が代替措置の内容でしたが、テレワークが加わったということですね。コロナ禍以降、弊社でもテレワークを導入したことで、効率的に仕事を進められるようになった実態があります。
【社労士(山崎)】:テレワークの導入により、短時間勤務からフルタイムへ切り替えて働くことも可能になります。キャリアアップを図りたい社員にとっても、メリットかもしれません。
【顧問先A】:続く『育児のためのテレワーク導入』は、子どもが3歳になるまで、企業側はできる限りテレワークを提供する努力を行う、ということですね。
【社労士(山崎)】:はい。あくまでも「努力義務」なので、法的に強制されるものではありません。ただテレワークの導入を検討できるように配慮し、そのために努力することが求められます。また、企業側は「テレワークの導入」を取り入れたことで終わるのではなく、「テレワークをどう活用するか? その後の成果にどうつなげるか?」辺りまでを考えるのがポイントです。
5. 育児休業取得状況の公表業務適用拡大【義務】
【顧問先A】:『育児休業取得状況の公表業務適用拡大』については、対象となる企業規模がかなり変わりましたね。
【社労士(山崎)】:そうですね。年に1回、育児休業の取得状況を公表する義務が、これまでの従業員数1000人超から変更に! 従業員300人を超える企業から対象になりました。公表の内容は、<男性の育児休業等の取得率>または<男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率>のいずれかです。(年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど、一般の方が閲覧できる方法で公表する)
【顧問先A】:従業員=「常時雇用する労働者」というのは、雇用契約の形態を問わないということですね?
【社労士(山崎)】:はい、おっしゃる通りです。「事実上期間の定めなく雇用されている労働者」を示します。
※具体的な公表内容や算出方法について ▶こちらから
今回は、今年(令和7年)の4月施行の「育児・介護休業法の改正」の中から、育児に関わる内容についてご紹介しました。ご覧いただいたように、法改正に伴い<就業規則等の見直し>が必要となったため、苦労した企業の方も多かったかもしれません。
今回、新規でテレワークの導入を取り入れた場合は、申請方法や通勤手当、服装規定なども検討する必要があったでしょう。10月の施行に向けても早めに動くことをオススメします。
次回は、介護に関わる内容と10月に施行の改正について、引き続き顧問先のAさんと一緒に確認していきます!
(特定社会保険労務士 山崎 香織)
※本記事は、2025 年6月6日時点での情報をもとに作成しております。
「子の看護等休暇」が小学校3年生までに拡大し、入学式や卒園式も追加に!
【2025年4月施行】
1. 子の看護休暇の見直し【義務】就業規則等の見直し

【顧問先A】:ではさっそく、4月施行の内容から確認させてください。最初は『子の看護休暇の見直し』について。ポイントとなるのは、対象となる子の範囲が広がったこと(小学校3年生修了まで)、取得事由に新たな内容が加わったこと(感染症に伴う学級閉鎖等、入園/入学式、卒園式)でしょうか。
【社労士(山崎)】:そうですね。ここ数年は新型コロナウイルスも影響し、やむを得ず仕事を休む方も多かったと思います。共働きの世帯は増加傾向にありますので、その辺りが背景にありそうです。そして、これらの取得事由が加わったことにより、名称も「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変更となりました。
【顧問先A】:ちなみに、勤怠の取り扱いは無給でも良いのでしょうか?
【社労士(山崎)】:はい、無給でも構いません。
【顧問先A】:これまでは入園式や入学式などで休みたい場合、(たとえ有給であっても)どこか引け目を感じていた方もいたような……。今後は、こちらの「子の看護等休暇」を利用して、堂々と休むことができる。そういう意味ではプラスに感じます。
2. 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大【義務】就業規則等の見直し

【顧問先A】:『所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大』について。こちらは、残業が免除される対象の年齢が、小学校就学前までに拡大されたんですね。
【社労士(山崎)】:最近は、柔軟な働き方へのニーズが高まってきています。同じ環境で長く働き続けてもらうためにも、対象年齢の拡大は大事な要素の一つになるでしょう。
両立支援として注目されるテレワークの導入
3. 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加 選択する場合は就業規則等の見直し

4. 育児のためのテレワーク導入【努力義務】就業規則等の見直し
3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。
【顧問先A】:『短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加』については、これまでは時差出勤等が代替措置の内容でしたが、テレワークが加わったということですね。コロナ禍以降、弊社でもテレワークを導入したことで、効率的に仕事を進められるようになった実態があります。
【社労士(山崎)】:テレワークの導入により、短時間勤務からフルタイムへ切り替えて働くことも可能になります。キャリアアップを図りたい社員にとっても、メリットかもしれません。
【顧問先A】:続く『育児のためのテレワーク導入』は、子どもが3歳になるまで、企業側はできる限りテレワークを提供する努力を行う、ということですね。
【社労士(山崎)】:はい。あくまでも「努力義務」なので、法的に強制されるものではありません。ただテレワークの導入を検討できるように配慮し、そのために努力することが求められます。また、企業側は「テレワークの導入」を取り入れたことで終わるのではなく、「テレワークをどう活用するか? その後の成果にどうつなげるか?」辺りまでを考えるのがポイントです。
5. 育児休業取得状況の公表業務適用拡大【義務】

【顧問先A】:『育児休業取得状況の公表業務適用拡大』については、対象となる企業規模がかなり変わりましたね。
【社労士(山崎)】:そうですね。年に1回、育児休業の取得状況を公表する義務が、これまでの従業員数1000人超から変更に! 従業員300人を超える企業から対象になりました。公表の内容は、<男性の育児休業等の取得率>または<男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率>のいずれかです。(年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど、一般の方が閲覧できる方法で公表する)
【顧問先A】:従業員=「常時雇用する労働者」というのは、雇用契約の形態を問わないということですね?
【社労士(山崎)】:はい、おっしゃる通りです。「事実上期間の定めなく雇用されている労働者」を示します。
※具体的な公表内容や算出方法について ▶こちらから
今回は、今年(令和7年)の4月施行の「育児・介護休業法の改正」の中から、育児に関わる内容についてご紹介しました。ご覧いただいたように、法改正に伴い<就業規則等の見直し>が必要となったため、苦労した企業の方も多かったかもしれません。
今回、新規でテレワークの導入を取り入れた場合は、申請方法や通勤手当、服装規定なども検討する必要があったでしょう。10月の施行に向けても早めに動くことをオススメします。
次回は、介護に関わる内容と10月に施行の改正について、引き続き顧問先のAさんと一緒に確認していきます!
(特定社会保険労務士 山崎 香織)
※本記事は、2025 年6月6日時点での情報をもとに作成しております。