LTR通信
2026年05月09日 [LTR通信]
【LTR Voice】「事業承継計画書」で未来を描く(番外編)

今、経営者の高齢化と企業の休廃業は、日本経済全体の課題とも言われています。業績自体は好調でありながら、後継者が見つからないために「事業の継続を断念する」といったケースも後を絶ちません。
LTR通信の誌面(本編/LTR通信2026春夏号P6−P7)では、「会社の未来を描くための『事業承継計画の重要性』」などについて、税理士の宮本 泰三(みやもと・たいぞう)氏にお話を伺いました。
こちらでは本編ではお伝えしきれなかった内容を、番外編としてお届けします。
▶LTR Voice本編(本誌記事)はこちら
LTR Voice本編6ページ
LTR Voice本編7ページ
よく事業承継を考えている経営者の方に聞かれることがあります。それは、事業承継のアクションを進めなければならないのは分かっているが、何を、どうやって、どれから行えばよいか、具体的な方法を知りたいということです。
LTR通信の誌面(本編/2026春夏号P6−P7)でも触れたとおり、事業承継は単なる「相続対策」ではありません。会社を次世代へつなぐためには、次の四つの資産を引き継ぐ必要があります。
●ヒト(経営権)
●モノ・カネ(資産)
●知的資産(見えざる強み)
●想い(企業文化・哲学)
つまり事業承継とは、これらを計画的に引き継いでゆく
“経営そのものの引き継ぎプロジェクト”なのです。
では、何から始めればよいのでしょうか。最初のステップは、ズバリ自社の現状を「見える化」することです。
たとえば……
現在の経営状況
株主構成
自社の強みとなる知的資産
こうした情報を整理することで、現経営者と後継者の間で認識を共有でき、「今」と「これから」がクリアになります。さらに重要なのが、理念や価値観の共有です。
数字や資産だけでなく、なぜこの事業を続けてきたのか?
どんな想いで仕事に向き合ってきたのか?
大切にしている“こだわり”は何か? こうした部分こそ、次世代に引き継ぐべき本質です。
そして、ここで欠かせないのが「対話」です。
一方的に伝えるのではなく、対話を重ねながら整理すると、
自社の強み・弱み
将来に向けた課題
承継の方向性
が徐々に明確になってゆきます。
その際に役立つのが、「事業承継計画書(骨子)」のようなツールです。実際の記入例をもとに、自社の状況を当てはめながら話し合うことで、事業承継のイメージがぐっと具体化するでしょう。
「事業承継計画書(骨子)」記入例
▲こちらをクリック
※独立行政法人 中小企業基盤整備機構ホームぺージに紹介されている「事業承継計画書(骨子)」をもとに宮本氏が一例として記入。
次に、「事業承継計画表(親族内承継)」について見てゆきましょう。
こちらには、会社の現状と将来の見通しや相続に関する課題のほか、「いつ、誰が、何を行うのか」の年次計画などを時系列で整理します。
いわば、5年・10年のスケジュールに落とし込んだ<実行管理表>(工程表)のようなイメージです。
まずは、「会社の事業計画と定款・株式などの整備」をし、次に「現在の経営者と後継者の計画」を行います。
では、「事業承継計画表」を作成するメリット、
さらに作成するうえでのポイントやコツは、どのようなものなのでしょうか?
◆「事業承継計画表」を作成するメリット
@「会社の羅針盤」になる:「事業承継計画書」同様、単なる書類ではなく、経営者と後継者の想いを共有し、関係者全員の足並みを揃え、会社の未来を具体的に描き出すための戦略的ロードマップとなります。
A円滑な承継を実現できる:現状を把握して将来の見通しを明確にすることで、計画的かつ円滑な事業承継につながります。
Bリスクをチャンスに変えられる:事前の計画がないと「権限移譲の遅れ」や「資産の分散」などのリスクを招きますが、計画的に取り組むめば、会社の価値をさらに高めるチャンスになります。
◆「事業承継計画表」作成のポイントとコツ
いきなり表を埋めるのではなく、以下のステップで進めることが重要です。
@現状の徹底的な「見える化」
まずは、会社の現状や課題を客観的に把握します。これがすべての土台となります。
(イ)会社のこと:資産や負債、キャッシュフローなどの経営資源の状況や、外部環境・競争力などの経営リスク。
(ロ)経営者のこと:自社株式の保有状況や個人名義の不動産、経営者保証などの状況。
(ハ)相続の課題:法定相続人の確認や、相続税額の試算。
(ニ)見えざる強み(知的資産):経営理念、技術・ノウハウ、顧客情報など。
A後継者の確定と方針決定
親族、役員・従業員、第三者(M&A)の中から、誰に引き継ぐかを決定します。
後継者候補の能力や適性、本人の意思確認を行うとともに、経営者の想いや経営理念をしっかりと伝えておくことが不可欠です。
B具体的なロードマップへの落とし込み
中長期的な経営計画(売上高、利益等の目標)を作成し、そこに「いつ、誰が、何を行うか」を時系列
(たとえば1年目〜10年目)で詳細に落とし込んでゆきます。計画表には以下の要素を組み込みます。
(イ)会社・事業計画:売上高や経常利益の目標、定款や株式の整備
(分散した株式の買い取りや、相続人に対する売渡請求制度の導入など)。
(ロ)現経営者の計画:役職の変更スケジュール(社長→会長→引退など)、
関係者(家族・社内・取引先・金融機関)への公表時期、退職金支給のタイミング、遺言書の作成など。
(ハ)後継者の計画:役職の段階的な引き上げ、
社内でのジョブローテーションや社外研修などの後継者教育のスケジュール。
(ニ)株式・財産の分配:暦年贈与や相続時精算課税制度を活用した自社株の段階的な移転スケジュール。
「事業承継計画表(親族内承継)」記入例
▲こちらをクリック
出典:中小機構「中小企業経営者のための事業承継対策 令和7年度版」P30
LTR通信の誌面(本編/LTR通信2026春夏号P6−P7)では、「会社の未来を描くための『事業承継計画の重要性』」などについて、税理士の宮本 泰三(みやもと・たいぞう)氏にお話を伺いました。
こちらでは本編ではお伝えしきれなかった内容を、番外編としてお届けします。
▶LTR Voice本編(本誌記事)はこちら
LTR Voice本編6ページ
LTR Voice本編7ページ
事業承継を前に進める「対話」の力
LTR通信の誌面(本編/2026春夏号P6−P7)でも触れたとおり、事業承継は単なる「相続対策」ではありません。会社を次世代へつなぐためには、次の四つの資産を引き継ぐ必要があります。
●ヒト(経営権)
●モノ・カネ(資産)
●知的資産(見えざる強み)
●想い(企業文化・哲学)
つまり事業承継とは、これらを計画的に引き継いでゆく
“経営そのものの引き継ぎプロジェクト”なのです。
では、何から始めればよいのでしょうか。最初のステップは、ズバリ自社の現状を「見える化」することです。
たとえば……
現在の経営状況
株主構成
自社の強みとなる知的資産
こうした情報を整理することで、現経営者と後継者の間で認識を共有でき、「今」と「これから」がクリアになります。さらに重要なのが、理念や価値観の共有です。
数字や資産だけでなく、なぜこの事業を続けてきたのか?
どんな想いで仕事に向き合ってきたのか?
大切にしている“こだわり”は何か? こうした部分こそ、次世代に引き継ぐべき本質です。
そして、ここで欠かせないのが「対話」です。
一方的に伝えるのではなく、対話を重ねながら整理すると、
自社の強み・弱み
将来に向けた課題
承継の方向性
が徐々に明確になってゆきます。
その際に役立つのが、「事業承継計画書(骨子)」のようなツールです。実際の記入例をもとに、自社の状況を当てはめながら話し合うことで、事業承継のイメージがぐっと具体化するでしょう。
「事業承継計画書(骨子)」記入例
▲こちらをクリック
※独立行政法人 中小企業基盤整備機構ホームぺージに紹介されている「事業承継計画書(骨子)」をもとに宮本氏が一例として記入。
「見える化」のあとは、具体的なアクションプランへ
次に、「事業承継計画表(親族内承継)」について見てゆきましょう。
こちらには、会社の現状と将来の見通しや相続に関する課題のほか、「いつ、誰が、何を行うのか」の年次計画などを時系列で整理します。
いわば、5年・10年のスケジュールに落とし込んだ<実行管理表>(工程表)のようなイメージです。
まずは、「会社の事業計画と定款・株式などの整備」をし、次に「現在の経営者と後継者の計画」を行います。
では、「事業承継計画表」を作成するメリット、
さらに作成するうえでのポイントやコツは、どのようなものなのでしょうか?
◆「事業承継計画表」を作成するメリット
@「会社の羅針盤」になる:「事業承継計画書」同様、単なる書類ではなく、経営者と後継者の想いを共有し、関係者全員の足並みを揃え、会社の未来を具体的に描き出すための戦略的ロードマップとなります。
A円滑な承継を実現できる:現状を把握して将来の見通しを明確にすることで、計画的かつ円滑な事業承継につながります。
Bリスクをチャンスに変えられる:事前の計画がないと「権限移譲の遅れ」や「資産の分散」などのリスクを招きますが、計画的に取り組むめば、会社の価値をさらに高めるチャンスになります。
◆「事業承継計画表」作成のポイントとコツ
いきなり表を埋めるのではなく、以下のステップで進めることが重要です。
@現状の徹底的な「見える化」
まずは、会社の現状や課題を客観的に把握します。これがすべての土台となります。
(イ)会社のこと:資産や負債、キャッシュフローなどの経営資源の状況や、外部環境・競争力などの経営リスク。
(ロ)経営者のこと:自社株式の保有状況や個人名義の不動産、経営者保証などの状況。
(ハ)相続の課題:法定相続人の確認や、相続税額の試算。
(ニ)見えざる強み(知的資産):経営理念、技術・ノウハウ、顧客情報など。
A後継者の確定と方針決定
親族、役員・従業員、第三者(M&A)の中から、誰に引き継ぐかを決定します。
後継者候補の能力や適性、本人の意思確認を行うとともに、経営者の想いや経営理念をしっかりと伝えておくことが不可欠です。
B具体的なロードマップへの落とし込み
中長期的な経営計画(売上高、利益等の目標)を作成し、そこに「いつ、誰が、何を行うか」を時系列
(たとえば1年目〜10年目)で詳細に落とし込んでゆきます。計画表には以下の要素を組み込みます。
(イ)会社・事業計画:売上高や経常利益の目標、定款や株式の整備
(分散した株式の買い取りや、相続人に対する売渡請求制度の導入など)。
(ロ)現経営者の計画:役職の変更スケジュール(社長→会長→引退など)、
関係者(家族・社内・取引先・金融機関)への公表時期、退職金支給のタイミング、遺言書の作成など。
(ハ)後継者の計画:役職の段階的な引き上げ、
社内でのジョブローテーションや社外研修などの後継者教育のスケジュール。
(ニ)株式・財産の分配:暦年贈与や相続時精算課税制度を活用した自社株の段階的な移転スケジュール。
「事業承継計画表(親族内承継)」記入例
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出典:中小機構「中小企業経営者のための事業承継対策 令和7年度版」P30

