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LTR通信
2022年03月11日 [LTR通信]

【LTR- Voice】LTRの日常〜事業再構築補助金にまつわる物語〜

※こちらの記事は「LTR通信2022新春号」に掲載中です。

たとえば利用客が減ったホテルを、さまざまな職業の人が共に働けるコワーキングスペースにして運営する――その改修に必要な費用を国が補助する「事業再構築補助金」。コロナ禍で売上減少に悩む多くの中小企業や個人事業者が、業種転換や業態転換をはかるため、この補助金の申請にチャレンジしています。事業計画書の作成などやるべきことはたくさんありますが、その裏では会社を大切に思う人々の熱いドラマも生まれています。

今年度(2021年度)から公募が始まった「事業再構築補助金」。LTRにもこれまでたくさんの相談が寄せられ、LTR税理士とLTR中小企業診断士が、会議や現地視察から事業計画書の提出に至るまで、ご相談者さまに寄り添いながら進めてきました。

そこで今回は、ある会社とともに取り組んだ事例をご紹介します。なお3回目の公募で申請しており、会社名も事業内容も明らかにできないため、架空の設定にしました。採択されたかどうかも、現時点では分かっていません。




ある日、税理士Kから中小企業診断士Nに電話がありました。「ちょっとアイデアが浮かんだんだけど。今度A社でやろうとしている新規事業でこの技術が使えないかなって」

A社は神奈川県西部にある金型専門の金属加工メーカーです。社長のX氏とK、Nは昔からよく知る仲で、A社にも何度も訪問しており、事業についても熟知しています。X氏から補助金を使って新規事業を行う予定だが、方向性が定まらなくて悩んでいると相談されていました。

最新のVR技術を工場に導入するというKの動画によるプレゼンを聞いたNは、「この技術そのものが使えるかどうかは分からないけど、方向性を決めるきっかけになるかもしれない。早速X社長に連絡を取ろう」




会議にはX氏、K、Nのほか、A社会長のY氏、今回事業を連携する予定のB社社長のZ氏が出席しました。プレゼン動画を見終えたX氏は「すごくいい、今度の新規事業で使えるかもしれない。ただ、今度進めようとしている、B社と連携する新規事業に使えるかどうかが分からないですね」。

一方Y 氏は「面白いけれど、私自身は年齢を考えると、新たなことを自らやるのは……誰かがやってくれるのであればいいが」。

それぞれに立場があり、意見がまとまりません。しかし、今回のプレゼンで方向性が決まってゆく、そんな手応えはありました。




神奈川県南西部の広大な敷地内にある工場。ここはY氏が所有し、以前事業を行っていた場所ですが、建物、設備ともに老朽化しています。この地で新規事業をやろうと、X氏、Z氏、K、Nの4人で何回も訪れ、議論を重ね、徐々に方向性が見えてきたあるとき、現地視察を終えたZ氏が呟いたのです。

「ここで元々Y会長は事業をやろうとしていた。それを尊重すべきではないでしょうか。われわれはまた別の機会に連携すればいい。収益性についても、しっかりと体制を整えないといけませんね」

こうして三者が納得する形で、補助金の申請を無事終えたのです。

@事業全体を眺め、偏っていたり、個人の都合で固執した考えはないかを意見する…「全体の俯瞰」
A事業者がやりたいことの背景には何があるのかを探る…「方向性の決定」
Bあくまでも計画だが、収益性のポイントを作成する…「収益性の計画」


第三者としてこの三つの役割を果たすこと、これがわれわれLTRの役目です。

(中小企業診断士 西端 望)

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