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LTR通信
2025年09月29日 [LTR通信]

【LTRビト】(番外編)人を信じ、任せることで強い組織に <社会保険労務士 阿部 毅氏>に聞く「経営とヒトづくり」

横浜・関内に事務所を構える「横浜賃金労務管理オフィス」。代表の阿部 毅(あべ・たけし)氏は、大手百貨店の販売マネージャーやバイヤー職、労働組合専従を経て、30代半ばに退職。これまでの仕事を通じ「会社づくりはヒトづくり」と強く感じたことから、社労士の道を選びました。現在では約20名のスタッフを擁し、横浜を中心とした中小企業の人事労務管理を支える存在になっています。

LTR通信の誌面(本編/LTR通信2025秋冬号P2)では、異業種から転身した経緯や事務所の強みなどをお話しいただきました。こちらでは、本編でお伝えしきれなかった内容を、番外編としてお届けします。


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横浜賃金労務管理オフィス
社会保険労務士 阿部 毅氏

【LTR通信2025秋冬号】 本編(2ページ)はこちらから



――本誌では、御社(社労士事務所)の強みとして、「組織で仕事に取り組み、その事例をお客さまに提案できること」「(各々が得意分野を持った)チームで力を発揮する業務スタイル」などについてお話しいただきました。今回はまず、「組織をつくるうえでご自身が大切にしていること」から教えていただけますか?

【阿部】今挙げていただいた強みを生かし、業務を続けるには、いわゆる「風通しの良い組織」であることが大前提です。上司や部下など立場にかかわらず、自分の意見を述べることができ、コミュニケーションが取りやすい環境であるかを意識すること。メンバーが気持ちよく仕事ができれば、目の前にいるお客さまにも最善を尽くすことができますよね。これが、最終的に組織の大きな力につながってゆくと思います。

――なるほど〜。そのうえで、阿部さんご自身が具体的に心がけていることはありますか?

【阿部】何か問題があった際に、「感情的になって怒る」のではなく「落ち着いてメンバーと接すること」。上の立場の人間が発する怒りの感情は、それを受ける相手にとって、非常に大きいものだと思うんです。その結果、相手が萎縮して本来の力が発揮できなくなる、といったことも起こりかねません。その辺りは心がけて、メンバーに接しています。

――そういう阿部さんの“姿勢”が、それぞれのチームリーダーにも伝わり、風通しの良い組織、強いチームが出来上がるんですね。

【阿部】あとは、「信頼して業務を任せること」も大事です。

――頭では理解していても、不安になって従業員の業務に口を挟んでしまい、実践できないまま数年が経ち……、といった中小企業の経営者の方は、意外と多い気がします。

【阿部】そうですね。私は「自分が採用した従業員を信じ、業務を任せる」ことを、基本の考えにしています。自分が従業員を信用しなければ、自ずと相手も組織に対して不信感を抱くようになると思うんです。それでは、なかなか本来の力が発揮できないでしょう。

――「いつになっても、従業員が良いパフォーマンスをしてくれない」と嘆く経営者の方もいますが、もしかすると責任は自身にあるのかもしれませんね。

【阿部】難しい面もありますが、まずは信じて任せてみる。能力の高い低いよりも重要なのは、仕事に取り組む姿勢ですよね。一生懸命に仕事と向き合っていれば、必ず結果につながるかと!


――ここ数年、「離職率の高さ」を問題視している企業も多いと思います。先ほどの「信頼関係」も影響していそうですね。

【阿部】おっしゃるとおり、弊社でも離職率に関する相談件数は増えてきています。企業側が挙げる従業員の離職理由について、「仕事時間(思ったより残業があったなど)」や「人間関係の悩み」を予想していても、実は「仕事を任せてもらえなかった」「上司や経営者と信頼関係が築けなかった」というケースもありました。

――それは、お互いにとって残念ですね。もう少し企業内でコミュニケーションが取れていれば防げたような……。そういう意味でも、経営者の方を良い方向へと導く社労士さんの存在がより大事になってきますね。

【阿部】はい。最近は、士業でも「AIの活用」は注目されています。実際、手続き業務にAIを用いることで、効率化を図れる部分ももちろんあるでしょう。でも、少なくとも弊社が行っているコンサルティングの部分では、それは難しい。1社1社それぞれに状況が異なり、その会社のことや人を見てきた私たちだからこそ、しっかりと細やかなサポートができるんです。

――本当にそうですね。最終的には人対人の付き合いの中で、真の答えが見つかるなど、それこそ企業と社労士さんとの信頼関係のもと、方向性が見える部分が大きいように思います。

【阿部】まさに、今私自身が思う社労士のやりがいはそこにあります。士業事務所も生き残りが大変な時代に突入しますが、今後も弊社の強み――そういった顔を突き合わせるコミュニケーションを重んじながら、多くの皆さまの力になってゆきたいです。(取材・文/小林 真由美)

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